自作小説

自作小説

家族会議

質の良い睡眠を取れていたのか、寝覚めの良い朝を迎えることが出来た。 ここまで眠れたのは、疲れていたからだけではない。 今日はあの悪夢にうなされることがなかったのだ。 恐らく、圭吾が帰ってきたことによって不安定だった精神状態...
自作小説

香り

あれだけ降っていた雨は通り雨だったのか、すぐに止んだ。 びしょ濡れになりながらもある所へ向かうと、中から現れた明るい雰囲気の女性がタオルを渡してくれた。 きっと母なのだろう。 しかし、それにしては若過ぎる。 「ありが...
自作小説

過ち

人混みを縫うようにして、その身をよじらせる。 時々人と接触しそうになった。 しかし、そんなことに構ってる余裕はどこも無い。 「圭吾っ!」 こちらの存在を察知し、彼は逃げ出した。 見失わないようにその姿を脳裏に焼...
自作小説

捜索

進展があったのは、あれから更に二日後のことだった。 両親は相変わらず家にいない。 毎日のようにルートを変え、今もなお奔走し続けているようだ。 五日目にもなるとさすがに堪えたのか、二人は死んだように眠ることが増えた。 ...
自作小説

疑惑

あれからというもの、圭吾が帰ってくることは一度たりともなかった。 すでに三日が経った。 頼みの綱だった捜索願も効果を発揮することはなく、時間だけが無情に過ぎ去る。 両親は仕事を休み、今もあちこちと探し続けている。 バ...
自作小説

消失

悠介が帰宅したのは二十二時頃だった。 この時間に圭吾がいないということは、普段ならあり得ない。 それは、基本的に自室にこもって勉強してることが多いからだ。 普段から進んで外出することは少ないが、受験シーズンということもあり...
自作小説

戦場

人の出入りや呼び出し時になるチャイム音。 それに煽られるよう素早く動く仲間たち。 座っている人たちは、今か今かと目的の品を待ち続けている。 そんな人たちの要望に応えるため、悠介は今日も必死に駆け回っていた。 人が多く...
自作小説

その日のために

その後も、ダウト、スピード、神経衰弱と戦いを挑み続けるも、一度たりとも綾乃に勝つことはなかった。 しかし、綾乃は心を読むのが得意なだけでなく、反応速度も常人のそれを遥かに上回っていた。 普段落ち着いている彼女がキビキビと動く姿は...
自作小説

チョコミント

カリカリ、と部屋の中に無機質な音が木霊し続ける。 「頑張ってください。これが終われば大好きなチョコミントたちが待ってますよ」 「餌付けしてるみたいなこと言わないで下さいよ」 「だって、悠介くんはこうでもしないとちゃんと取り...
自作小説

アルバイトを始めて一週間ほどが経ち、仕事にも慣れ始めていた。 店長の人柄の影響なのか、相変わらず職場の人は優しく接してくれる。 居心地の良さが身に染みた悠介は、出勤日が待ち遠しく感じていた。 仕事する上で人間関係が一番大切...
タイトルとURLをコピーしました