2019-10

自作小説

相談

八月も中旬に入り、夏休みは折り返し地点を迎えた。 あの手紙を見て以降、綾乃がいつ消えてしまうか気が気ではなかった。 しかし、一日経っても二日経っても特に変化はなく、彼女は普段通りの様子で家に居座り続けた。 そのことに、悠介...
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予感

家に帰り自室に戻ると、綾乃はいつかのように例の球体を弄んでいた。 「またそれ出しちゃったんですか?」 「……悠介くん。帰ってきてたんですね」 遊ぶことに夢中でこちらに気付かなかったのか、綾乃はビクリと身を震わせた。 ...
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両親の想い

存分に加熱されてることを証明するように、目の前にはバチバチと音を鳴らした鉄板が置かれている。 火傷しないようにそっとハンバーグに切り込みを入れると、中からチーズがドッと溢れ出した。 瞬く間に鉄板は黄色一色に染まってしまった。 ...
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家族会議

質の良い睡眠を取れていたのか、寝覚めの良い朝を迎えることが出来た。 ここまで眠れたのは、疲れていたからだけではない。 今日はあの悪夢にうなされることがなかったのだ。 恐らく、圭吾が帰ってきたことによって不安定だった精神状態...
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香り

あれだけ降っていた雨は通り雨だったのか、すぐに止んだ。 びしょ濡れになりながらもある所へ向かうと、中から現れた明るい雰囲気の女性がタオルを渡してくれた。 きっと母なのだろう。 しかし、それにしては若過ぎる。 「ありが...
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過ち

人混みを縫うようにして、その身をよじらせる。 時々人と接触しそうになった。 しかし、そんなことに構ってる余裕はどこも無い。 「圭吾っ!」 こちらの存在を察知し、彼は逃げ出した。 見失わないようにその姿を脳裏に焼...
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捜索

進展があったのは、あれから更に二日後のことだった。 両親は相変わらず家にいない。 毎日のようにルートを変え、今もなお奔走し続けているようだ。 五日目にもなるとさすがに堪えたのか、二人は死んだように眠ることが増えた。 ...
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疑惑

あれからというもの、圭吾が帰ってくることは一度たりともなかった。 すでに三日が経った。 頼みの綱だった捜索願も効果を発揮することはなく、時間だけが無情に過ぎ去る。 両親は仕事を休み、今もあちこちと探し続けている。 バ...
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消失

悠介が帰宅したのは二十二時頃だった。 この時間に圭吾がいないということは、普段ならあり得ない。 それは、基本的に自室にこもって勉強してることが多いからだ。 普段から進んで外出することは少ないが、受験シーズンということもあり...
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戦場

人の出入りや呼び出し時になるチャイム音。 それに煽られるよう素早く動く仲間たち。 座っている人たちは、今か今かと目的の品を待ち続けている。 そんな人たちの要望に応えるため、悠介は今日も必死に駆け回っていた。 人が多く...
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