2019-09

自作小説

アルバイト

「お先失礼します」 「はい、お疲れ様でした。初日にしてはよく動けてたよ。これからもその調子でよろしくね!」 「が、頑張ります……」 エネルギーを感じさせる鋭い瞳。 利便性のみを追求したようなサッパリとした短髪。 ...
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ループ

自室に戻ると、綾乃はベットに腰をかけていた。 特にすることもなかったのか、部屋に入ってきた瞬間にバッチリと目が合う。 拾ってきたものに勘付かれないように、悠介は背中に写真を隠し続ける。 しかし、彼女の前でそんなことは通用し...
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あの人

「どうでしたか? 私のお話は」 片目を拭いながら、綾乃は問いかける。 その瞳に灯る光には、どんな意味があるのだろう。 今の悠介にそれを知ることは、到底不可能だった。 「どうって、言われましても。正直なんて言えばいいの...
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彼女の内側

「ごめんなさい、遅くなりました」 「あっ」 部屋に戻ると、綾乃は机の前に佇んでいた。 背中を向けながら顔だけをこちらに向けて、なぜか申し訳なさそうな目をしている。 そんな彼女の姿に疑問を感じ、ゆっくりと視線を落とすと...
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アルバム

今日で一学期が終わり、学生待望の夏休みへと移行した。 綾乃が現れてから三週間が経ち、彼女がいる生活にも徐々に慣れ始めていた。 そして、それが当たり前になりつつあった。 あまりにも普通に生活するものだから、つい幽霊だというこ...
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こっち側とそっち側

学校に行き、惰性で授業を受ける。 いつもと変わらない日常だ。 ただ、一点を除いては。 綾乃は悠介の隣に黙って突っ立っていて、窓から体育の授業を受けている生徒を見守っている。 彼女の姿は、やっぱり自分以外には見えないよ...
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消毒

「気持ちよかったです。いいお湯でした」 脱いだワンピースを再び羽織り、綾乃は顔を手で仰ぐ。 久し振りにお風呂に入れたことで、彼女は満足したようだった。 急いで服を着た悠介は、細心の注意を払いながら自室へと足を運ぶ。 ...
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お風呂

「あの、綾乃さん。本気ですか?」 家族に怪しまれないよう、自然とその声は小さくなる。 「もちろんですよ。私一人で入ってる間に誰か来たら大変なことになっちゃうじゃないですか」 「それはそうですけど。なにも一緒に入らなくても…...
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家族

カツカツ、とローファーが一定のリズムを刻む。 裏拍のように、ペタペタという足音が合いの手を入れる。 先がほとんど見えないような夜道を、早くも遅くもない速度で歩いていく。 悠介には明らかに聞こえる二つの音も、周囲の人には一つ...
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お手伝い

綾乃が幽霊だと証明されたものの、疑問は山のように積み上がっていた。 どうして悠介にだけ見えるのか。 綾乃は何者なのか。 そもそも、なぜ幽霊になってしまったのか。 考えだすとキリがなかった。 彼女に何かし...
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