ダメージを受けた髪、少しこけた頰、注意深く観察すると疲れを感じ取れる顔だった。
一人の女性は、定期的にこの場所に訪れていた。
「……私は、どうしたらいいんでしょうかね」
その質問が返ってこないことは、自分が一番分かっている。
それでも、心の拠り所を求めるかのように尋ねてしまうのだ。
ここは墓地。
目の前の墓石には、篠原の名が刻まれている。
……そして、この中には私の夫が眠っている。
あれから半年近く経ったが、未だにあの娘とどう接したら良いのかが分からない。
あの子の親はもう私しかいないというのに……
一人で悩み抜いた結果選んだのは、“現状維持”だった。
いや、選んだなんて大層なものではない。
それしか選べなかったのだ。
だけど、本当にこのままでいいのだろうか……?
私がやっていることは、親としてのエゴを押し付けてるだけなのではないだろうか……?
今でも悩み続けていた。
真実を打ち明けるべきなのか、それとも何も知らせずに“今の美月”と暮らしていくのか。
……分からなかった、何もかも。
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続き→心の在り処
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